円高のニュースを見て、オルカンを損切りしたくなった君へ。結論を先に言う。円高だけが理由なら、俺は売らない。
円高が理由ではなく、単に含み損の数字が怖いだけ、という人もいるはずだ。そっちも同じでいい。確認する順番は変わらない。売るかどうかを決めるのは、下がった理由でも次の為替でもなく、その金をいつ使うかだからだ。
始めて間もない口座がマイナスなら、不安になるのは自然だ。ただ、不安になったことと、保有分を売る理由ができたことは別の話になる。
売る前に見るべきなのは、次のドル円ではない。自分の資金用途と、最初に決めた運用の前提だ。
円高だけでオルカンを損切りしない理由
損益画面のマイナスは、投資先の失敗とは限らない
先に一つ整理しておきたい。値下がりしているのはNISAではない。NISAは利益に税金がかからない「制度」の名前で、値動きしているのは、その口座の中で持っているオルカンやS&P500といった商品の方だ。「NISAが下がった」と感じているとき、実際に動いているのは自分で選んだ投資信託の基準価額になる。制度が壊れたわけではない。
円高になると、海外資産を円に換算した評価額は下がりやすい。けれど、画面が赤くなったからといって、世界中の企業の稼ぐ力が同じ割合で傷んだわけじゃない。
三菱UFJアセットマネジメントも、オルカンの基準価額は組入資産の価格変動と為替変動の影響を受け、株価が上がっていても円高なら下がる場合があると説明している。三菱UFJアセットマネジメント「オルカンの基準価額が上昇しないのはどうしてですか」
株価の変化と為替の変化は、損益画面では一つの数字に混ざる。だからこそ「評価額が下がった」と「長期で持つ前提が壊れた」を同じにしない。
売って買い戻すなら、為替を二度当てることになる
「いったん現金にして、落ち着いたら買い直せばいい」。この考えが一番もっともらしい。
でも売るには、これからさらに円高になると読む必要がある。買い戻すには、円高が終わる前か、世界株が上がる前に戻る必要がある。二つとも外したとき、君は高く買い直すか、現金のまま次のニュースを待つことになる。
円高でも世界株が上がれば、基準価額が思ったほど下がらないこともある。反対に、円安へ戻っても株価が下がることはある。為替だけを見て出入りするのは、分散商品を買ったあとで、また予想ゲームに戻る行為だ。
俺は為替予想で売買しない。未来が読めないから、毎月の積立と分散を選んでいるからだ。
今持っている分と、これから買う分は分けて考えたい。新規積立の判断は、円高でオルカン積立は続ける?「安く買える」の罠で整理した。
俺が月4万円を積み立てるときの前提
俺はオルカンを、為替を当てる道具にしていない
俺はオルカンを月4万円積み立てている。円高なら含み益が減る月もあるし、円安なら反対の月もある。その上下を自分の予想で避けるつもりはない。
相場が静かな日に決めたルールを、ニュースが騒がしい日にすぐ捨てない。俺は月4万円と決め、為替ニュースを理由に売買しない。売らなくて済む設計のほうが、我慢より強い。
積立の途中なら、円高には裏側もある
すでに持っている分は、円高で円換算の評価額が下がりやすい。ここまでは書いた通りだ。
ただ、これから買う分は話が別になる。基準価額が下がった状態で買うので、同じ月4万円でも積み上がる口数は増える。積立の途中にいる人にとって、円高は評価額にはマイナス、購入口数にはプラスという両面を持つ。
「円高=悪」と一言でまとめると、この片方が視界から消える。
とはいえ、口数が増えたことを喜ぶ話でもない。増えた口数が効いてくるのは、その後に基準価額が戻ったときだけだからだ。だから俺は「安く買えてラッキー」とは言わない。円高を、積立を止める理由にも、慌てて増額する理由にもしない。それだけだ。
長期・積立・分散は、相場を当てないための土台だ
金融庁は、投資には元本割れのおそれがあると明記したうえで、長期・積立・分散を資産形成の考え方として案内している。積立は決まった金額を続けて投資する方法で、高いときだけを買うことを避ける一助になるという説明だ。金融庁「資産形成の基本」
これは「保有していれば安心」という意味ではない。値動きをゼロにする魔法でもない。ただ、短期の為替予想を一発で当てる代わりに、期間と投資先を分けて不確実さに向き合う考え方だ。
俺の場合、円高は想定外の事故ではない。為替を含む値動きを受け入れる、と決めて買っている。だから見直す基準も、為替の見出しではなく自分の生活に置く。
オルカンを売る前に確認したい5つのこと
そのお金を数年以内に使う予定はあるか
住宅、車、教育費、生活費など、近く使うお金は回復を待てない。必要な時期が近いなら、問題は円高ではなく、値動く資産に置いた資金の用途だ。使う日から逆算して、保有期間を見直す。
生活を支える現金は残っているか
急な出費や収入の変化で現金が足りなければ、値下がりした資産でも売らざるを得なくなる。そのとき必要なのは為替予想ではなく、家計の立て直しだ。金融庁も、資産形成では家計管理とライフプランニングを先に考える必要があるとしている。金融庁「資産形成の基本」
投資額が自分の許容範囲を超えていないか
数%の下落で眠れないなら、オルカンが悪いと決めつける前に、投資額が大きすぎないかを見る。積立額を減らして現金を厚くすることと、ニュースを見て全部売ることは別だ。前者は設計、後者は反応になりやすい。
売ったあと、いつ買い戻すのか
「落ち着いたら買う」はルールではない。どんな状態なら買うのか。円高がさらに進んだら待つのか。世界株が上がっていても買うのか。書けないなら、売った後も迷いは終わらない。
最初に決めた保有期間は変わったか
購入時の理由を一文で書いてみてほしい。「長く世界の株式に分散して持つため」だったなら、数日の円高ニュースでその理由が消えたのかを確かめる。変わっていないなら、売る根拠も薄い。
売却や配分の見直しを考えてよいケース
家計、資金用途、過大なリスクが変わったとき
近く使うお金を投資していた。家計が変わり、現金が必要になった。株式の比率が自分の許容範囲を超えていた。商品の性質を理解して、長く持つのは自分に合わないと分かった。
こうした事情なら、売却や資産配分の見直しを検討する余地がある。ここで直すのは、円高の予想ではない。自分の生活とリスクの取り方だ。
相場に反応して売るのは予想。家計に合わせて配分を直すのは設計。この二つの間には深い溝がある。
今日やること
- 投資したお金を使う予定日を書き出す
- 現金だけで急な出費に対応できるか、家計を確認する
- オルカンを買った理由を一文で書く
- 売却後の買い戻し条件を書けるか試す
- 条件を書けないなら、その日は売却ボタンを押さない
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まとめ
円高でオルカンの円建て評価額が下がることはある。でも、評価額が下がった事実だけでは、長期・積立・分散の前提が崩れたとは言えない。
俺はオルカンを月4万円積み立て、為替予想で売買しない。君が売る前に確認するのも、次のドル円ではなく、資金用途、家計、投資額、保有期間だ。
相場が動いたから売るのではなく、自分の前提が変わったときに見直す。それが、長期投資と短期の損切りを分ける線だ。
※本記事は俺個人の見解・体験を綴ったものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。


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