高配当株は育った?取得価格ベースの配当利回りを9銘柄で点検【2026年9月】

9銘柄の配当が育ったかを、平均取得単価と年間配当で点検する投資家のイラスト 個別株
この記事は約10分で読めます。

株価が上がった。含み益が増えた。もちろん悪い話じゃない。

でも、長く持つ株を点検するときに、それだけでは少し足りないと思う。俺が知りたかったのは、自分が実際に投じたお金が、いま年間いくらの配当を生む力に変わっているかだ。

2026年9月4日時点で保有している国内個別株9銘柄を、取得価格ベースの配当利回りで調べ直した。結論から言うと、JTと第一生命HDは配当を生む力がはっきり増えていた。一方で、2026年に買い始めた銘柄の多くは、まだ「育った」と判定するには早い。株価の順位と、配当が育った順位も同じではなかった。

株価ではなく、取得価格に対する配当を見る

今回使うのは、取得価格ベースの配当利回りだ。計算はシンプルで、こうなる。

現在の1株当たり年間配当 ÷ 平均取得単価 × 100

例えば、1,000円で買った株が現在は年間40円の配当を出すなら、俺の取得価格に対する利回りは4%になる。企業の増配で年間配当が50円になれば、株価が動かなくても利回りは5%だ。

ここで言う「育った」は、株価が上がったという意味ではない。同じ取得元本から受け取れる年間配当が増えた状態を指す。今回の数字は、いわば保有後の健康診断だ。

今回「育った」かどうかを見る主な基準は、1株当たり年間配当がどれだけ増えたか、つまり配当成長率だ。取得価格ベースの利回りは、その配当成長の結果、自分の現在の平均取得単価に対して何%の配当を生む状態になったかを見る補助指標として使う。

ただし、この利回りが高いからといって、いまその株が割安とは限らない。今から買う人が見るべきなのは、現在株価ベースの配当利回りだ。取得価格ベースの利回りは、「昔の俺の投資資金が、いまどれだけ働いているか」を見るための物差しであって、新規購入の判断には使わない。

9銘柄を、配当を生む力で並べてみた

保有株数、平均取得単価、2026年9月4日の株価は、同日時点の証券口座CSVを使った。年間配当は、各社が2026年9月4日までに公表していた会社予想または実績を使っている。金額はすべて税引前だ。配当成長率は、(現在の年間配当 − 初回取得時の年間配当)÷ 初回取得時の年間配当 × 100で計算した。

銘柄初回取得保有期間平均取得単価保有株数初回取得時の年配当*現在の年配当配当成長率取得価格ベースの現在利回り現在株価利回り**判定
JT2024/8約2年4,365円30株194円272円+40.2%6.23%4.00%育った
ENEOS2025/11約9か月1,030円2株34円34円0.0%3.30%2.53%横ばい・観察中
壽屋2025/6約1年2か月1,540円100株40円45円+12.5%2.92%3.40%育成途中
三菱商事2026/3約6か月4,908円13株110円125円+13.6%2.55%2.55%育成途中
三菱UFJ FG2026/3約6か月2,810円7株74円96円+29.7%3.42%2.54%育成途中
三井住友FG2026/3約5か月5,694円5株157円180円+14.6%3.16%2.54%育成途中
第一生命HD2025/10約11か月1,188円100株48円72円+50.0%6.06%3.84%育った
NTT2026/7約2か月143円200株5.4円5.4円0.0%3.78%3.13%評価には早い
KDDI2025/12約9か月2,658円50株80円84円+5.0%3.16%2.82%育成途中

* 初回取得日に市場へ公表されていた、その年度の年間配当予想または実績。分割があった銘柄は、現在の株数基準へそろえた。買い増しをした銘柄では「保有分すべてを初回取得日に買った」という意味ではない。初回時点と現在の会社の配当方針を比べるための基準である。

** 2026年9月4日の終値相当を分母にした参考値。以後の株価変動は反映していない。

9銘柄の現在保有分が生む年間配当の見込みは、税引前で28,405円になった。これは「今年すでに受け取った額」ではない。9月4日の保有株数に、各社のその時点の年間配当を掛けた将来1年分の見込みだ。

JTは、取得価格4,365円に対して年272円になった

いちばん長く保有しているJTは、今回の中心になる。2024年8月に買い始め、2026年3月に13株を売却した後も30株を保有している。

初回取得時点の年間配当は194円だった。2026年9月4日時点では272円。1株当たり78円、率にして40.2%増えている。現在の平均取得単価4,365円に対する取得価格ベースの現在利回りは**6.23%**だ。2025年の買い増しも含むため、各買付時点の利回りを遡って再現しているわけではない。それでも、現在の平均取得元本に対して受け取る年間配当が増えたことは確認できる。

2026年の実際の入金明細も、この株がキャッシュフローを生んでいることを示している。3月は43株に対して税引前5,590円、9月は30株に対して税引前4,080円、税引後では合計7,707円が入った。ただしこれは、売却前の43株分を含む年途中の受取額だ。いまの30株に272円を掛けた年間8,160円とは、同じ数字ではない。

株価の上昇がなかったとしても、現在の平均取得単価4,365円に対して生まれる年間配当は増えている。今回の記事でいう「育った」は、企業から受け取れる1株当たり年間配当が増え、その結果として自分の取得価格に対する配当水準も上がった状態を指す。

第一生命HDは、増配が取得価格ベースの利回りを押し上げた

第一生命HDは2025年に買い始めた。途中で101株を売却し、いまは100株を残している。部分売却を挟むため、取得原価は売買ログの再計算ではなく、9月4日時点の口座CSVにある平均取得単価1,188円を正とした。

初回取得時点の年間配当は48円で、現在は72円。50%増だ。現在の平均取得単価1,188円に対する取得価格ベースの現在利回りは**6.06%**になる。部分売却を挟んでいるため、各買付時の利回りを遡って再現しているわけではない。6月には100株分で税引前3,050円、税引後2,431円が実際に振り込まれている。

JTと第一生命HDは、保有期間が比較的長く、増配も確認できる。今回の9銘柄で「配当を生む力が育った」と言えるのは、まずこの2銘柄だった。

銀行・商社・通信は、成長を確認できたが結論は急がない

三菱UFJ FGは74円から96円、三井住友FGは157円から180円、三菱商事は110円から125円へ、会社の年間配当予想が上がっている。取得価格ベースの利回りはそれぞれ3.42%、3.16%、2.55%になった。

数字だけなら悪くない。ただ、買い始めたのは全て2026年だ。三菱UFJ FGと三菱商事は、その後も買い増して平均取得単価が作られている。三井住友FGも3月の3株と8月の2株では買値が違う。

だから、ここで「増配株を選べた」とは言わない。会社予想が上がったことと、長期保有が成功したことは別だ。数年後も配当が積み上がって初めて、取得価格ベースの利回りには重みが出る。

KDDIも年間配当は80円から84円へ増えた。ただし保有開始は2025年12月で、まだ1年に満たない。NTTは2026年7月に買い直したポジションで、年配当は5.4円のまま。2024年に持っていた500株は同年12月に全売却しているので、昔の取得価格を今回の計算に混ぜてはいけない。

三井住友FGは2026年10月1日に2分割を予定しているが、今回の基準日ではまだ効力前だった。表の180円と株数は、すべて9月4日時点の分割前基準でそろえている。分割後に見直すときは、株数と1株配当を同じ基準に補正する必要がある。

ENEOSも年間配当は34円で変わっていない。2株だけの小さな保有で、期間も短い。壽屋は40円から45円へ増えた。ただし保有開始からまだ約1年で、配当を生む力が育ったと断言するには早い。数字が増えたことと、長期保有の成功は別の話だ。

株価の動きと、配当の育ち方は別だった

今回の口座では、取得単価より株価が上にあるENEOSとNTTは、年配当が変わっていない。一方で、壽屋は取得単価を下回る株価であっても、年配当は40円から45円に増えている。

この3銘柄だけで優劣を決めるつもりはない。ただ、値上がりと増配は同じ現象ではない。株価は「今日売ればいくらか」を表し、年間配当は「企業が株主へどれだけ利益を分ける方針か」を表す。長期保有の点検では、両方を混ぜずに見たほうがいい。

受取配当と、年間配当の見込みは混ぜない

今回、提供された2026年の配当金明細で確認できた国内株の受取額は、税引前15,096円、税引後12,036円だった。

これは年途中の実績だ。壽屋とNTTの明細は提供されていない。また、三菱UFJ FGは現在7株だが6月の配当対象は3株、三井住友FGは現在5株だが対象は1株、三菱商事は現在13株だが対象は2株だった。権利確定日後の買い増しがあるからだ。

受取配当は「すでに入ったキャッシュフロー」。現在の年間配当見込みは「いまの保有株数が、これから1年で生む見込み」。この2つを混ぜると、配当が増えたようにも減ったようにも見えてしまう。比較表は前者ではなく、後者でそろえた。

なお、VYMの配当明細も提供されていたが、9月4日時点の最新保有CSVにはVYMが載っていない。外国株口座で保有を続けているか、すでに売却したかを今回の資料だけでは確認できないため、9銘柄の比較表と合計には入れていない。保有状況が確認できた時点で、別途ETFとして点検する。

「金の鶏」を、今日の株価ではなく年間配当で点検する

高配当株を持つと、つい現在利回りや株価を見てしまう。でも、保有後に一度だけ見るなら、自分の取得価格に対する年間配当のほうが面白い。

もちろん、利回りが上がったから保有継続が正しいとは限らない。減配の可能性、利益の中身、配当性向、事業の変化は別に確認がいる。取得価格ベースの利回りは、売買判断を自動化する数字でもない。今日この株を持ち続けるべきかを判断するなら、取得価格ベースの利回りではなく、現在株価から見た期待リターンや事業内容、他の投資先との比較が必要になる。

それでも、JTの年間配当が194円から272円へ増え、現在の平均取得単価に対する取得価格ベース利回りが6.23%になったように、昔の自分が投じたお金が何を生むようになったかは見える。株価の画面を閉じても、年間配当は残る。

俺の資産形成の中心は、いまもインデックス投資だ。個別株はサテライトであり、9銘柄を増やし続けることが目的ではない。そのうえで、保有している株が本当に配当を生む資産へ育っているのかを、年に一度くらい淡々と点検する価値はあると思う。

NISAと高配当株をどう使い分けているかは、NISAへの高配当株の植え替えは税金で損?含み益50万円で計算したで詳しく整理しています。

今日やること

  • 個別株を持っているなら、証券口座で平均取得単価と保有株数を確認する
  • 各社のIRで、現在の年間配当予想を確認する
  • 「年間配当 ÷ 平均取得単価」で、取得価格ベースの利回りを一度だけ計算する
  • 高いか低いかで新規購入を判断せず、前年の自分の数字と比べる

個別株だけでなく、NISA・iDeCo・現金を含めた資産全体の配分は、積立の全記録|2026年8月・6ヶ月目で公開しています。

昔買った株を、今日の株価だけで採点しない。自分が投じたお金が、いま年間いくらを生むようになったか。その物差しも持っておくと、長期保有の見え方が少し変わる。

参考資料

取得時の年間配当は、初回取得日までに各社が公表していた最新予想を採用した。現在の年間配当は2026年9月4日までに公表された最新予想である。

※本記事は俺個人の保有状況・見解を記録したものであり、特定の銘柄や金融商品の購入を推奨するものではありません。配当予想は変更される可能性があります。投資判断はご自身の責任でお願いします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました