長期金利2.8%「危険域」でも、俺が高配当株を売らない理由

天秤で高配当株と国債を比較するフラットイラスト・STILL HOLDING 個別株
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Bloombergがこう報じた。

「復調日本株に長期金利上昇の洗礼、利回り優位性失う-2.5%超は危険域」

正直に言う。この手の記事を読むと、一瞬だけ手が止まる。「今が売り時なのか」という気持ちが頭をよぎる。同じように感じた人は、少なくないはずだ。

でも、俺は売らない。JTも、KDDIも、三菱商事も、1株も売るつもりはない。理由は3つある。


「2.5%超は危険域」論は、誰に向けた言葉か

まず前提を整理したい。

今回の記事が指摘しているのは「TOPIXの配当利回りが、長期金利(10年国債)を下回った」という事実だ。5月に入り、長期金利は一時2.8%まで上昇。TOPIX全体の平均配当利回りとの差は約50ベーシスポイントに拡大し、「株より国債の方が利回りが高い」という逆転は2008年以来とされている。(参考:Bloomberg「復調日本株に長期金利上昇の洗礼」(2026-05-22)

これは事実だ。否定しない。

ただ、この「危険域」という言葉が向けられているのは、今から買う人、または短中期で保有している人の話だ。「今から株を買うコスト(機会費用)として、国債利回りが上昇した」という文脈であって、「すでに長期保有している株を売るべき」という話ではない。

俺はこの金利正常化の流れを、2026年3月の段階から追ってきた。(→日本が「金利のある世界」に戻ってきた。放置系投資家、銀行株を考える

市場のノイズに「危険域」というラベルを貼るのは簡単だ。でも、何にとっての危険なのかを問わずに使うのは、正確ではない。


配当利回りvs長期金利2.8%、俺の3銘柄で比較する

実際の数字で確かめてみよう。

俺が特定口座で保有している高配当株の内訳と、2026年5月時点の配当利回りはこうだ。

銘柄保有株数取得単価配当利回り年間受取配当(税引き前)
JT(2914)30株4,365円約4.8%7,020円
KDDI(9433)50株2,658円約3.4%4,000円
三菱商事(8058)12株4,945円約3.1%1,320円

(参考:日本取引所グループ 配当関連データ

この3銘柄だけで、年間の受取配当は税引き前で約12,340円になる。金額としては大きくないが、株数を増やすほどこの数字は積み上がっていく。それが高配当株を長期保有する意味だ。

長期金利2.8%との比較で、JTは約2ポイントの優位性、KDDIも0.6ポイントある。三菱商事は差が0.3ポイントまで縮まっているが、これは「売り」ではなく「継続保有」の判断だ。

さらに、これらは特定口座での保有だが、配当には約20%の税がかかる。それを加味してもJTの税引き後利回りは約3.8%。長期金利2.8%との差はまだ1ポイント以上ある。

「TOPIX全体の平均」が国債を下回ったのは事実だが、俺が保有しているのはTOPIX全銘柄ではない。選んだ銘柄の利回りで判断する。それだけの話だ。


国債に乗り換えると配当の複利成長を失う理由

「それでも2.8%の国債に逃げる方が安全では?」という声はわかる。

だが、その選択は複利の連鎖を断ち切ることと同義だ。

高配当株の配当を再投資し続けると、配当が次の配当を生む。この雪だるま式の積み上げは、保有を続けることでしか機能しない。一度売って国債に乗り換えた瞬間、その連鎖はリセットされる。

加えて、インフレリスクがある。2%超のインフレ環境下では、2.8%の国債利回りは実質1%以下に目減りする可能性がある。配当成長が期待できる高配当株と元本確定の国債では、20年後の資産額に大きな差がつく。「安全」に見える選択肢が、長期では最もリスクの高い選択になることがある。これが放置系の核心だ。


こういう人は売ってもいい

ただ、正直に言う。売りを検討すべき場面はある。

  • 保有銘柄の配当利回りが長期金利を継続的に下回っている
  • かつ、業績悪化や減配リスクが実際に高まっている

この両方が重なったとき、俺は売りを検討する。ルールで決める、という話は以前も書いた。(→高配当株の売り時はルールで決める。JT一部売却・リバランス記録

今のJT・KDDI・三菱商事は、その条件に当てはまらない。だから、俺は動かない。

また、金利上昇はメガバンクや保険株には追い風でもある。「金利上昇=株を全部売れ」という話ではなく、銘柄ごとの影響をフラットに見ることが先決だ。


今日やること

  • 自分が保有している銘柄の配当利回りと長期金利(現在2.8%)を実際に比較してみる
  • 特定口座での税引き後利回りを計算してみる(配当利回り×0.8)
  • 「危険域」「リスク」という言葉を見たとき、誰向けの話かを確認する癖をつける

まとめ

長期金利の上昇は事実だ。TOPIXの平均配当利回りが逆転したのも事実だ。でも、それはTOPIX全体の平均の話であって、俺の口座の話ではない。

相場が動くことと、自分が動くべきかどうかは、まったく別の話だ。

市場のノイズに反応するたびに、君の複利は小さくなる。俺は動かない。


※本記事は俺個人の見解・体験を綴ったものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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