「3カ月で10%増えます」。京都のデータ管理会社クリアースカイが、サーバーの所有権をそう言って売っていた。被害者は弁護団の推計で約5,000人、被害総額は約250億円とみられている(MBSニュース)。弁護団いわく「サーバーはそもそも存在していなかった」。ポンジスキームだと指摘されている事件だ。
正直、こういうニュースを見ると「よく引っかかるよな」と思う。俺はこの手の“うまい話”に近づいたことがない。
——でも、ニュースを見ながら気づいた。俺、似たような罠に片足突っ込んでた。貯蓄型保険だ。
結論を先に言う。貯蓄型保険は詐欺じゃない。でも「気づくきっかけを設計から消す」という一点で、250億円の詐欺と地続きだった。だから俺は解約した。 これは、実際に解約した俺の体験談だ。君の保険にも刺さるかもしれないから、最後まで読んでくれ。
俺が貯蓄型保険を解約した体験談──10万円払って、戻りは800円
きっかけは一本の電話だった。
それまでの担当者が2023年いっぱいで辞めて、後任から「ご挨拶させてください」と連絡が来た。商品の話でもトラブルでもない。ただの挨拶。今思えば、これが「人で繋ぎ止める」典型だ。中身じゃなく、人間関係で疑わせない。
その電話をきっかけに、俺は初めて自分の契約をまともに見直した。月の保険料は19,800円。
ここで正直に書いておく。俺はこれが「貯蓄型」だと、はっきり説明された記憶がない。 掛け捨てのつもりだったのか、貯まると思ってたのか、自分でも曖昧なまま、毎月引き落とされるに任せてた。それくらい、中身を分かってなかった。後で調べて、これが終身の貯蓄型だと知った。
で、解約した。戻ってきた解約返戻金は——800円だった。
数ヶ月分、合わせて10万円近く払って、戻りは800円。返戻率は1%未満。先に断っておくと、契約書はもうシュレッダーにかけたから1円単位の正確な数字は記憶ベースだ。でも桁は間違ってない。払った額より、戻ってきた額が二桁少ない。これは覚えてる。
俺の口座の他の数字と比べてみる。NISAでオルカンに月3万円積み立ててて、評価益は淡々とプラスで回ってる。同じ「毎月お金を入れる」でも、こっちは増える。あっちは消えた。
俺の哲学はシンプルだ。確実に増えなければ、それは投資じゃなく投棄だ。 貯蓄型保険で俺がやってたのは、投資ですらなかった。
「終身型」がいちばんタチが悪い理由
ここからが本題だ。なんで俺がこれを「罠」と呼ぶのか。
俺が入ってたのは終身型だった。終身型には満期がない。一見やさしく聞こえる。「一生保障が続きます」。でも裏を返すと、こうだ。
点検する日が、一生来ない。
学資保険なら18歳で満期が来る。定期保険なら更新のたびに値段を突きつけられる。そこで人は「あれ、これ続ける意味あるか?」と立ち止まる。終身型にはその瞬間がない。自分から解約ボタンを押さない限り、死ぬまで19,800円が引き落とされ続ける。死ぬまで気づかない設計なんだ。
しかも、その保険料のうちいくらが保険会社の手数料(付加保険料)に消えてるかは、原則として開示されない。業界で内訳をフルに公開してるのはライフネット生命くらいで、それが「業界初」とニュースになったほどだ。つまり中身が見えない。いくら抜かれてるか分からないまま、一生払う。
早期解約だと返戻金がほぼゼロになるのも、設計通りだ。公益財団法人の生命保険文化センターも「契約してから短期間で解約したときには、解約返戻金はまったくないか、あってもごくわずか」とはっきり書いている(生命保険文化センター)。俺の800円は、例外じゃない。仕様だ。
これ、250億円のサーバー詐欺と地続きなんだ
ここで冒頭のクリアースカイに戻る。
あの事件のスキームはこうだ。1口110万円でサーバーの所有権を買わせ、3カ月で元本に10%つけて買い戻す。再契約を繰り返せば年30〜40%。でも弁護団によれば、実在したサーバーはわずか1基で、運用実態はなかった(時事ドットコム)。集めた金を新しい客の金で配ってただけ。だからポンジスキームと指摘されている。
詐欺と保険。違法と合法。一緒にするなと言われそうだ。でも、人を立ち止まらせない構造が、不気味なほど似てる。
- ポンジ:最初に配当を出す。「本物だ」と安心させて、疑うきっかけを消す
- 終身保険:満期をなくす。点検する日を消して、見直すきっかけを消す
方向は逆だ。片方は安心させ、片方は無関心にさせる。でもゴールは同じ。人間が冷静に立ち止まる瞬間を、設計から消し去ること。
皮肉な話がある。クリアースカイがサーバーの預け先だった吹田のデータセンターとの契約を切っていたのは、2024年3月だ(東京商工リサーチ)。裏で「実体」を消してた時期と、俺のところに保険屋が「ご挨拶です」と電話してきた時期が、だいたい重なる。片方は嘘を隠すために動き、片方は新しい入口を開きに来てた。気づくきっかけは、向こうからは来ない。
詐欺じゃないのに、なんで詐欺みたいに後味が悪いのか。答えは情報の非対称だ。難しく聞こえるけど、要はこういうことだ。売る側は中身を全部知ってて、買う俺は商品名すら分かってなかった。 この溝がある限り、合法でも金は溶ける。
解約すべきか、続けるべきか──俺の判断軸
煽って終わるのはフェアじゃない。じゃあ君はどうすればいいか。俺の判断軸を置いておく。
①保障と貯蓄は、混ぜない。
これが核だ。万一に備えるなら掛け捨ての安い保険で十分。増やすなら、利益が非課税になるNISAでやる(金融庁)。「保障しながら貯蓄」は聞こえはいいが、保険のコストが運用の足を引っ張る。分けたほうが、安く守れて、よく増える。
②「待つ」より「今の最大損失で切る」が正しい場面がある。
払込途中の解約は原則元本割れだ。「もったいない、満了まで待て」と言われる。でも、続ける先がずっとマイナスなら、待つのは傷を深くするだけ。俺は800円を受け取って、月19,800円を取り戻した。その金は今、オルカンに回ってる。
③解約=ゴールじゃない。出口まで決める。
浮いた保険料を何に回すか決めて、初めて解約に意味が出る。俺の場合はNISAのオルカン積立に乗せた。
ひとつ補足。保険代理店のサイトは「まず専門家に相談を」で締めるものが多い。でも彼らは、解約後にNISAでどう増やすか、までは書かない。書く理由がないからだ。それも情報の非対称だと思っておくといい。
そして、もし「これ詐欺かも」と思う話に出くわしたら、一人で抱えるな。消費者ホットライン188(消費者庁)や、金融庁の詐欺的な投資勧誘の相談ダイヤルがある。被害が出る前でも相談していい。
今日やること
君の保険、掛け捨て? それとも貯蓄型? 即答できないなら、今日これだけやってくれ。
- 自分の保険が「掛け捨て」か「貯蓄型」か、証券を出して確認する
- 貯蓄型なら、毎月いくら引かれてるか/解約返戻金がいくらか調べる
- 「保障」と「貯蓄」を分けたらどうなるか、一度紙に書いてみる
- うまい話・詐欺かもと思ったら、188か金融庁にすぐ相談する
まとめ
貯蓄型保険は犯罪じゃない。誰も捕まらない。でも俺の10万円は、800円になって返ってきた。
クリアースカイは、いずれ捕まる。被害者は弁護士と一緒に金を取り返しに動いてる。でも俺の保険は、合法的に、俺が死ぬまで続くはずだった。怖いのは、どっちだ。
見抜く目はいらない。立ち止まる物差しさえ持てばいい。淡々と中身を確かめて、混ぜずに、分ける。それが放置系の守り方だ。
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※本記事は俺個人の見解・体験を綴ったものであり、特定の金融商品の購入・解約を推奨するものではありません。保険・投資の判断はご自身の責任でお願いします。


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