オルカンの為替リスク|君のホールド力は、円安が支えていただけだ

円安に支えられて上昇するオルカンの基準価額グラフと、円高で目減りする為替リスクを対比したイラスト 投資信託
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「オルカンは右肩上がり」。この一行を、君は無条件で信じていないか。

俺もオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)を月3万円、淡々と積んでいる。その判断は変えない。

ただ、ここ数年の含み益を「株が上がったから」で片づけるのは危うい。その半分くらいは、株の実力じゃなく、円安がくれたボーナスだ。

結論を先に言う。俺は円高リスクを織り込んだ上でオルカンを積んでいる。 株価が上がっても、円高で基準価額が下がるシナリオは普通にある。知った上で持つのと、知らずに持つのとでは、ホールド力がまるで違う。


オルカンは「株式ファンド」じゃない。「株式×為替」の二重リスク商品だ

まず前提を揃える。オルカンの中身は全世界株だが、その約6割は米国株、つまりドル建て資産だ(出典:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)月次レポート」の国・地域別構成)。

ここがポイントだ。俺たちは日本円でこのファンドを買う。だから円とドルの為替レートが、基準価額に直撃する。株価が1ミリも動かなくても、円安に振れれば基準価額は上がり、円高に振れれば下がる。

しかもオルカンは為替ヘッジなしが標準設定だ。理由は単純で、ヘッジには日米の金利差に連動したコストが乗り、長期で持つほどそれが複利を削るからだ。だから運用会社はあえてヘッジしない。合理的な設計だ。

ただ裏を返せばこうだ。「全世界に分散」と言いながら、通貨はドルに集中している。分散の優等生が、為替だけは一点張りなんだ。

2022年以降の含み益、その正体を分解する

数字で見る。1ドルは2022年初におよそ115円。それが2024年にはおよそ150〜155円の水準まで進んだ(出典:日本銀行系列統計データ検索サイト)。約35%の円安だ。

同じ期間、世界株指数も上がった。だが円換算リターンのかなりの部分は、この円安の上乗せでできている。「株が上がったのか、円が安くなっただけなのか」──ここを切り分けずに含み益を眺めると、判断を誤る。そもそもなぜ俺が土台をオルカンに置くのかは、個別株をやりながら、俺がオルカンを買い続ける理由に書いた。今回の話は、その土台に乗っている「為替」という変数の話だ。

俺の口座で言う。積立を始めたのは2024年1月、ドル円は約141円だった。そこから今の円安水準までの差分が、評価益にそのまま乗っている感覚がある。正直に言うと、株の力なのか円の弱さなのか、自分でも見分けがつかない。NISA口座の評価益のうち、無視できない部分は為替由来だと俺は見ている。

株価横ばい×円高で何が起きるか──「世界株は上がってるのに資産が減る」逆説

逆方向を想像してみる。米国株が横ばいのまま、1ドルが155円から130円に戻ったとする。するとドル建て資産は円換算で約16%目減りする。過半がドル建てのオルカンは、基準価額もこれに引きずられて二桁で沈みうる。

ここで君はこう言いたくなる。「長期で右肩上がりなら、為替なんて誤差だろ」と。これが最有力の言い訳だ。だが誤差じゃない。入口と出口の為替が違えば、20年持っても2割は平気で飛ぶ。 特に資産を取り崩すフェーズで円高をつかむと、これは致命傷になる。

歴史も忘れちゃいけない。2011年10月、円は1ドル75円32銭の史上最高値をつけた(出典:日本銀行 時系列統計データ)。あの超円高が二度と来ないと、誰が言い切れる。

このとき何が起きるか。「オルカンを信じてたのに」と言って降りる人が出る。本当は株じゃなく為替で削られているのに、株そのものに絶望して売ってしまう。これが一番もったいない降り方だ。

それでも俺が為替ヘッジなしでオルカンを積み続ける理由

それでも俺はヘッジなしで積む。理由は3つだ。

ひとつ、為替は長期で読めない。ヘッジコストは確実にかかる。 読めないものに確実なコストを払うのは、割に合わない。

ふたつ、20年スパンで見れば、円安と円高は往復する可能性が高い。今の円安が永遠じゃないのと同じで、来る円高も永遠じゃない。往復するなら、コストを払って打ち消す意味は薄い。

みっつ、これが本題だ。俺は円高リスクを知った上で積んでいる。だから円高で基準価額が沈んでも「裏切られた」とは思わない。 想定内のことに、人は狼狽しない。知識が、握力をつくる。実際、含み損が出ても俺が手を止めなかった話は含み損が出ても、俺が積立をやめない理由に書いた通りで、握力の出どころはいつも「設計を知っていること」だ。

整理するとこうだ。ヘッジなしはコストゼロで為替の上下を丸ごと受ける。ヘッジありはコストを払って上下を消す。俺は「確実なコストを払って、読めない未来を当てに行く」側を選ばない。淡々と航路を守る。それが放置系の答えだ。

こういう人は為替ヘッジありでもいい

ただし、全員に同じ答えを押しつける気はない。

5年以内に使う予定がある、取り崩しが目前、あるいは円高局面で心が折れて売ってしまいそう──そういう人は、為替ヘッジありの投信や、円資産を厚めに持つ選択も十分合理的だ。為替の往復を待てる時間軸があるかどうか。判断はそこで分かれる。

今日やること

  • eMAXIS Slim の月次レポートで、自分が持つファンドの国別・通貨構成を一度だけ見る
  • 直近の評価益から、ざっくり為替の寄与分を引き算してみる(残りが「株の実力」だ)
  • 「円高で基準価額が沈んでも売らない」を、今のうちに先に決めておく

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まとめ

円安は事実だ。含み益も事実だ。だが、その全部が株の実力じゃない。為替は、評価益にこっそり乗っている変数だ。

問題は、円安に支えられたホールド力は、円高が来た瞬間に剥がれるということだ。そして剥がれた人から、相場の底で降りていく。

剥がれないのは、知った上で握っている手だけだ。俺は、見えている変数に裏切られない。


※本記事は俺個人の見解・体験を綴ったものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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