「給料は確かに増えてるのに、なんか生活がラクにならない」
そう感じてる君、勘は正しい。
俺たちは今、インフレと「ステルス増税」のダブルパンチを食らってる。日経の試算では、過去数年で実質約2兆円もの「隠れ増税」が積み上がってるらしい(日本経済新聞 2026/5/8※日経電子版・有料記事)。
放置系投資家として20年ホライズンで戦ってる俺の結論はシンプルだ。
時間と固定費を「守り」で削り、浮いた資源を「攻め」(株・副業・節税)に回す。
この両輪が回らないと、君は静かに搾取される側に固定される。今日はその構造を、自分の生活と数字を晒しながら全部見せていく。
ステルス増税の正体。給料が上がるほど税率区分に押し上げられる
累進課税にインフレ調整がない、という日本の欠陥
日本の所得税は超過累進課税だ。所得が増えるほど税率が上がる。国税庁のページにある通り、こうなってる(国税庁 No.2260)。
| 課税所得 | 税率 |
|---|---|
| 〜195万円 | 5% |
| 195万〜330万円 | 10% |
| 330万〜695万円 | 20% |
| 695万〜900万円 | 23% |
| 900万〜1,800万円 | 33% |
| 1,800万〜4,000万円 | 40% |
| 4,000万円超 | 45% |
ここで問題。この区分、1995年以来30年間ほぼ据え置きだ。
インフレで物価も賃金も上がっていく世界で、税率区分だけ動かないとどうなる?
答えはひとつ。実質賃金は1ミリも増えていないのに、税率区分だけ上に押し上げられる。
経済の世界ではこれを「ブラケット・クリープ」と呼ぶ。日本語で言えば静かな自動増税装置だ。
2兆円。これが日本で進む「隠れ増税」の実額
第一ライフ資産運用経済研究所の星野卓也氏の試算によると、コロナ前と比べて家計の所得税・住民税負担は年間約2兆円増えている(日経 2026/5/8※日経電子版・有料記事)。
政府が手を打っていない3つの調整不足はこうだ。
- 所得税の課税区分(ブラケット)
- 給与所得控除
- 基礎控除と住民税の各種控除
令和7年度改正で基礎控除と給与所得控除は一部拡充された。「103万円の壁」が「160万円の壁」になったやつだな。これは低所得層には朗報。
でも、ブラケット本体(195万・330万・695万…)は触られていない。
つまり中間層以上は、控除でお茶を濁されながら静かに踏み上げられてる、というのが今の構図だ。
米国・カナダは毎年自動でインフレ調整している
参考までに、海外を見ておく。
| 国 | インフレ調整 | 直近の調整率 |
|---|---|---|
| 米国 | 毎年自動(IRS Rev. Proc. 2024-40) | 2.8%(2025年) |
| カナダ | 毎年自動(Canada.ca) | 2.7%(2025年) |
| 日本 | 30年間ほぼ放置 | — |
公平を期して言えば、世界全体で見ると自動調整してる国は2割もない(IMF調査)。
ただし、G7主要国の中で事実上ほぼ調整してないのは日本だけだ。英国も2022年から凍結中だから「日本に似てきてる」状態とも言える。
要するに、日本に住んで日本円で給料をもらってるだけで、君は世界水準より静かに搾られているってことだ。
俺もインフレを肌で感じている。食料品の値上げが地味にキツい
ここからは俺自身の話だ。
野菜も肉も、明らかに以前より高い
スーパーに行くたびに感じる。キャベツも豚バラもサーモンも、3年前と比べて2割は高い。
総務省のCPIを見るまでもなく、買い物カゴの中身で実感できるレベルだ。
スーパーをハシゴするのは、時間という資源を食う
ここで多くの人が選ぶのが「安いスーパーを何軒もハシゴする」戦略。
A店で野菜、B店で肉、C店で日用品、ポイントもD店とE店で別々に貯めて……。
たしかに金額だけ見れば1回数百円浮く。
でも、俺はこれを途中でやめた。
理由は明確だ。時間と判断力という資源を、回収できないコストで失ってるから。
放置系投資家としての俺の根本思想は「増えないものに労力を払うな」だ。
ハシゴで浮く数百円は、複利では育たない。一方で、削られた時間と気力は二度と戻ってこない。
「ここ」と決めてポイントをお買い物券に集中させる
俺のやり方はシンプル。1軒に絞って、ポイントをお買い物券に変換できる店だけを使う。
ちなみに俺の場合、年間で500円券が4枚、合わせて2,000円分戻ってくる。金額そのものはコーヒー1杯×4回レベル、たかが知れてる。でも、判断ゼロで定期的に入ってくるのが本質だ。ハシゴで店を回って数百円浮かせるより、1軒に絞ってこれを淡々と受け取るほうが、時間と気力という資源を圧倒的に節約できる。
これだけで何が起きるか。
- 行き先を決めるための判断コストがゼロになる
- ポイントが分散せず、年間で確実に「お買い物券」という現金等価物になる
- 浮いた時間を、ブログ執筆・投資判断・読書に回せる
精神的にも肉体的にもラクで、しかも結果として時給換算でハシゴ組より得をしている、というのが俺の体感だ。
守りで浮いた時間を、攻め(投資・副業)に回す
ここがこの記事のキモだ。
守り(買い物・固定費)で時間を削るのは、時間を攻め側に再配分するための前段階でしかない。
ハシゴで浮いた数百円より、その1時間でブログ1本書いたほうが、長期では10倍以上のリターンになる。
副業も、投資判断も、節税の勉強も、全部「時間」という資源を食う。守りで時間をつくらない限り、攻めは加速しない。
俺はハシゴしない。航路を守る。
金持ちはなぜインフレで得をするのか
ここで一度、俯瞰しておきたい。
インフレ局面で起きるのは、資産を持つ側と持たない側の格差拡大だ。
資産を持つ者は、物価上昇の恩恵を受ける
- 株価は名目で上がる
- 不動産価格も名目で上がる
- 持っているコモディティ(金など)の価値も上がる
俺が金とBTCを毎月少額でも積んでるのは、ここに理由がある。
対策している人は、税負担が増えにくい
NISA・iDeCo・青色申告・マイクロ法人。これらを使ってる人は、インフレで自動増税される所得税の影響を制度的に減らせる。
逆に言えば、何も対策していないサラリーマンが、最もブラケット・クリープの被害を受ける。
だから、格差はインフレで加速する
ここを直視しておきたい。
- 持つ側:資産価格が上がる + 制度を使って税を圧縮できる
- 持たない側:名目賃金しか動かない + 税率区分だけ自動で押し上げられる
毎年この差が複利で積み上がる。1年で見れば誤差、10年で見れば取り返せない断絶だ。
インフレは資産家の味方で、給与所得者の敵だ。
サラリーマンが取るべき4つの手(攻め3+守り1)
ここから実装フェーズだ。俺自身が実際にやってる構成を出す。
攻め①|株を買い、資産側に立つ
俺のポートフォリオはこうなってる。
積立(コア)
- eMAXIS Slim 全世界株式:月3万円
- iDeCo:月1万円(全世界株式)
- 金積立:月2,000円
- BTC:月990円
個別株(サテライト・上限30%)
- ディフェンシブ:JT・KDDI
- シクリカル:三菱商事・三菱UFJ・ENEOS・第一生命HD
2026年の目標は金融資産450万円、キャッシュ比率は30%キープがルール。現時点ではキャッシュが155万円、総資産比33%(2026年5月時点)。ルールよりやや厚めに持っている状態だ。
積立部分(投信)の評価益は約 22%、個別株の含み益は約 12%(いずれも2026年5月時点)。
インフレ局面でなぜこの構成かというと、シクリカルとディフェンシブを半々にしてるから。
- シクリカル(商社・銀行・エネルギー)→ 資源価格と金利上昇でインフレ耐性が高い
- ディフェンシブ(JT・通信)→ 価格転嫁力があるから、物価上昇を売上に乗せられる
特に銀行株は、日本がやっと「金利のある世界」に戻ってきたことでロジックが変わった。詳しくは 日本も「金利のある世界」へ。放置系投資家が銀行株を仕込もうとしている話 でまとめてる。
「キャッシュはインフレで目減りするのに、なぜ持つのか?」と聞かれる。
答えは正直に書く。目減りする弱点は受け入れる。その代わり、暴落時の弾薬として持つ。
教科書的に「現金は悪」と書くブログは多いけど、俺は違う。精神的な余裕を作るための保険料として持ってる。これが20年ホライズンで戦うための土台だ。
キャッシュをいくら確保すべきかの実数感覚は 生活防衛資金の目安はこれだけ|6ヶ月分を貯める方法と保険の見直し術 で書いた。
→ 配当銘柄を「いつ売るか」のルールは 高配当株の売り時はルールで決める にまとめてある。
攻め②|副業で収入源を分散
このブログhochi-investor.com自体が俺の副業だ。
サラリーマン1本足打法は、インフレ時代に最弱の構造になる。なぜなら、
- 給料は労組や会社の意思決定に依存する
- 物価上昇に追いつくスピードが遅い
- 副収入がないと、節税の選択肢も激減する
ブログでも、note販売でも、スキル販売でも、何でもいい。月1万円でも稼ぐ経路を持つこと自体が、インフレ時代の防具になる。
攻め③|節税を制度として使い倒す
国が用意してる「合法的な逃げ道」は全部使う。これは反則じゃなく、制度の正しい利用だ。
- NISA:成長枠200万+積立枠60万、2026年フル活用予定。なぜ貯金じゃなくNISAに全振りしたかは別記事に書いた
- iDeCo:所得控除と運用益非課税のダブル恩恵。口座開設から掛金設定まで俺がやった記録あり
- 青色申告特別控除:副業を開業届出して65万円控除
- マイクロ法人:所得が増えてきたら検討
橘玲が現役世代のことを「惜しみなく奪われる」と書いたのは、この制度を知らないまま搾取される側に固定される人のことを指してると俺は読んでる。
守り|固定費と買い物の最適化(時間を作るための土台)
経験編で書いた話の総括だ。
- スーパーは1軒に絞る
- ポイントは分散せず集中させる
- 保険・通信費・サブスクは年1回見直す
目的はお金の節約じゃない。時間と判断力の節約だ。そして浮いた時間を、攻めの3本(株・副業・節税)に投じる。
これが俺の言う「放置系投資家の両輪」だ。
制度に守られてる人は、制度を使ってる人だ。
まとめ|「惜しみなく奪われる側」に固定されないために
最後にもう一度まとめる。
- インフレ+ステルス増税で、年2兆円が静かに家計から抜かれている
- 政府が動かないなら、君自身が動くしかない
- 時間を守りに投じ、浮いた時間を攻めに回す
橘玲は週刊プレイボーイの連載で、現役世代を「惜しみなく奪われる」と表現した(2025年6月の連載第645回)。
残念だけど、これは真実だ。
今この瞬間にもステルス増税は進んでる。気づいてる人はほとんどいない。
自由に生きたいなら、「惜しみなく奪われる側」に固定されてはいけない。
世の中の仕組みをちゃんと理解して、君なりの一手を打っていこう。


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