普通預金1000万円は、6年で870万円になっていた件

通帳の1000万円という額面と、インフレで目減りした実質870万円を対比するイラスト 投資マインド
この記事は約5分で読めます。

「貯金してれば大丈夫」と言う親世代に、君は今も静かに同意できているだろうか。

俺はできなかった。総務省の消費者物価指数を眺めていて、ある事実に気づいたからだ。2020年に1000万円を普通預金に入れた人の残高は、2026年3月時点でも額面は1000万円のまま。だが実質的な購買力は、約870万円まで落ちている

結論を先に言う。俺は現金を抱え込まない。普通預金は”安全”じゃなく、”確定損”だ。 理由は4つある。


① 日本のインフレ、この6年で何が起きたか

まず一次データを見よう。総務省統計局が公表している消費者物価指数(総合)は、2020年を100とすると、2026年3月時点で112.7。つまり物価は約12.7%上昇した

食料品はもっとえぐい。同じCPIの「食料」項目は128.7。直近5年で約3割上がっている。スーパーの値札を二度見した経験は、君にもあるはずだ。

出典:総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2026年3月分」(取得日:2026-05-12)

直近の前年同月比は1.5%まで鈍化した。だが鈍化は「物価が下がった」という意味じゃない。水準は高いままで、上がるスピードが落ち着いただけだ。

つまりこの6年、君の現金は何もしていないのに、相対的に減り続けてきた。


② インフレで1000万円が6年で130万円消えた計算

具体的に置こう。2020年1月に普通預金へ1000万円を預けた君がいる。

2026年3月時点、額面は1000万円のままだ。利息はほぼゼロ。

ところがCPIは+12.7%。同じ生活をするために必要な金額が1127万円になっている。1000万円の実質購買力は 1000 ÷ 1.127 ≒ 873万円

6年で約130万円、消えた

月換算なら約1.8万円のステルス課税だ。給与明細には載らない。通帳の数字も減らない。だが確実に、毎月1.8万円ぶんの「君が買えるはずだったもの」が、棚から消えている。

これがインフレの正体だ。湯の温度がじわじわ上がるカエルの話と、構造は同じ。数字が変わらないことで、変化に気づけない


③ 定期預金1%復活が罠な理由

最近、定期預金で年利1%台のキャンペーンが復活した。「これで利息生活できる」と喜んでいる声もある。

電卓を叩いてみよう。

1000万円を年利1%の定期で10年間回したとする。複利込みで約1104万円。額面で100万円ちょっと増える。悪くないように見える。

だが同じ10年でインフレが年率2%進んだとすると、物価は1.02の10乗で約1.22倍。1104万円の実質購買力は 1104 ÷ 1.22 ≒ 905万円

額面1100万円で、実質900万円。スタート地点より目減りしている。

「定期1%復活」は、見えない相手と戦う時の武器にはならない。額面の安心と、実質の損失を、混同するな


④ 過去の俺と、今の俺の積立記録

正直に言う。俺は2024年まで、投資に興味はあったが一歩も踏み出さなかった。

理由はシンプルで、ネット証券の存在を知らなかったからだ。投資は対面の証券会社で口座を作るもの、というイメージから抜けられなかった。さらに当時の俺がメインで使っていたネット銀行は、他行宛の振込手数料が1回数百円。「投資のために金を動かすたびに、手数料で削られる」と感じて、ずっと先送りにしていた。

転機は2024年の新NISA。あれだけ話題になったので、さすがに重い腰を上げて調べた。そうしたら、ネット証券なら売買手数料がほぼゼロ、信託報酬0.1%以下のインデックスファンドが普通に買える時代になっていた。条件付きとはいえ、振込手数料も実質無料化できる。情報を取りに行かなかった数年で、俺は6年分のインフレを丸ごと食らっていた

それで、2024年に積立を開始。2025年初頭にeMAXIS Slim全世界株式へ集約した。今、月々の積立はこうなっている。

  • eMAXIS Slim 全世界株式(NISA):月3万円
  • iDeCo(全世界株式):月1万円
  • 金積立:月2,000円
  • ビットコイン:月990円

合計、月4.3万円弱。地味な額だ。億り人を狙っているわけじゃない。

ポイントは2つ。

1つ目、コアは全世界株式インデックス。値上げできる企業群の利益と配当を、丸ごと買い続ける。インフレ局面で企業は値上げで応戦できるが、現金には応戦手段がない。

2つ目、キャッシュは30%ルールを厳守。全額を市場に晒すわけじゃない。生活防衛資金と暴落時の買い増し弾薬は現金で持つ。だがそれ以外の現金は、必ず働かせる(→ 詳細は キャッシュ30%ルールの作り方 で書いた)。

「現金を全部リスク資産に」と煽る話じゃない。現金の役割を、防衛とチャンスに絞るということだ。

そして数字だ。2026年5月12日時点、俺のNISA口座の評価益は**+21%。先週は+19%だった。1週間で2ポイント動くのは、別に珍しくない。市場は上下する。だが現金で寝かせていたら、この+21%の上昇分は丸ごと取り逃していた**。これが、俺が積立を止めない理由だ。


今日やること

  • 総務省CPIのページを開いて、自分の生活費が何%上がったかを実感する
  • 自分の総資産に占める現金比率を計算する(30%超ならアラート)
  • 生活費6ヶ月分を「生活防衛資金」として別口座に分離する
  • NISA口座の残り枠を確認する(→ 戦略は 新NISA満額埋めの順番 を参考に)
  • 月1万円でいい、明日からインデックス積立を始める or 増額する

関連記事


まとめ

額面を見ているうちは、君は損失に気づけない。通帳の数字が変わらないことこそが、現金が抱えている最大のリスクだ。

定期1%は痛み止めにしかならない。投資はギャンブルだと言い切る親世代の言葉は、過去のデフレ時代に最適化された遺物だ。インフレに勝てるのは、値上げできる側に資産を置いた人間だけ

俺は淡々と積み立てる。月4.3万円、ただそれだけ。派手なことはしない。だが動かせる金から先に育てる。それが放置系の核だ

現金を抱きしめても、君は守れない。守ってくれるのは、君が選んだ航路の上で、静かに働き続ける資産だけだ。


※本記事は俺個人の見解・体験を綴ったものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました