新NISAとiDeCo、どっちを先にやるべきですか?」
資産形成を始めると、かなり早い段階でぶつかる疑問だ。一般的には「節税メリットが大きいiDeCoも強い」と言われるし、それ自体は間違っていない。
でも、実際に両方を積み立ててみると、印象は少し変わった。
制度として強いことと、最初に選ぶべきことは、同じじゃない。 今の俺は、迷ったらまず新NISAだと断言する。
もちろん、iDeCoが悪い制度だと言いたいわけじゃない。所得控除のメリットは、実際かなり大きい。それでも、資金拘束や制度設計の重さを考えると、最初から万人に勧める制度ではない。新NISAとiDeCoで迷っている人、iDeCoの節税は気になるけど資金拘束が不安な人には、特に参考になるはずだ。
iDeCoは節税メリットが大きい制度
まず前提として、iDeCoにははっきりした強みがある。
いちばんは、掛金が全額所得控除になること。このメリットはかなり分かりやすいし、運用益も非課税だ。節税だけを見るなら、iDeCoはとても優秀な制度だ。
だから「新NISAより先にiDeCoの方が得では?」という話が出るのも理解できる。理屈だけで見れば、そう言いたくなる気持ちはわかる。
ただ、自分で積み立ててみてわかったのは、iDeCoは余力のある人が使う制度だということだ。
所得控除は強い。でも、そのメリットを素直に活かせるのは、家計に余白があって、新NISAも含めてしっかり投資に回せる人だけだ。
逆に言うと、まだ生活防衛資金が薄い人や、毎月の家計にそこまで余裕がない人に、iDeCoを先に勧めるのは難しい。資産形成は、途中で脱落しないことの方がずっと大事だ。だから最初の一歩として勧めやすいのは、やっぱり新NISAだ。
それでも全員にiDeCoを勧めない理由
iDeCoそのものを否定したいわけじゃない。所得控除のメリットは大きいし、老後資金を半強制的に積み上げていく仕組みとしては優秀だ。
それでも、実際に使っていて「やっぱり不便だな」と感じる点はある。特に大きいのは、資金拘束と制度設計のわかりにくさだ。
iDeCoの不便さ① 資金拘束がやはり重い
原則として60歳まで引き出せない。
制度の目的が老後資金づくりである以上、当然の設計ではある。ただ、使っている側からすると、この制約は思っている以上に重い。
積み立てを続けていると、「このお金、必要な時でも触れないんだよな」と思う瞬間がある。節税メリットがあるのはわかってる。でも、その代わりに自由をかなり制限されている。
結婚、引っ越し、住宅、転職、休職。人生はわりと普通に予定が変わる。そういう変化が起きた時に、積み立てたお金を動かせないのはやはり不便だ。節税になるから大丈夫、と簡単に片付けていい話じゃない。
iDeCoの不便さ② 制度設計がわかりにくい
積み立てている間は「全額所得控除」というメリットがかなり分かりやすい。でも、制度全体で見ると、出口戦略がかなり複雑だ。
受け取り方によって扱いが変わったり、退職金との関係を考えたり、将来の制度変更も気にしたり。積み立てる時はシンプルに見えるのに、最後まで含めると思ったより気軽な制度じゃない。
実際に使ってみて初めて気づいた部分だ。
制度変更リスクまで考えるとiDeCoは万人向きではない
iDeCoで気になるのは、制度変更リスクだ。
長く使う制度だからこそ、その間にルールが変わる可能性がある。退職所得控除まわりの見直しが話題になることもあるし、将来の受け取り条件が今のままとは限らない。
お金は長く拘束される。でも、その間に制度の方は変わるかもしれない。この組み合わせは、思っているより重い。
新NISAには流動性という逃げ道がある
もちろん、新NISAにも制度変更リスクがないとは言わない。ただ、iDeCoとの違いは明確だ。新NISAには流動性がある。
必要なら売れる。これがかなり大きい。
ずっと持ち続ける前提で始めたとしても、万が一の時には現金化できる。制度が今後どう変わるか分からなくても、自分で動ける余地がある。
この「逃げ道がある」という感覚は、初心者ほど大事だ。
新NISAは自由を残したまま積み立てる制度。iDeCoは自由を減らす代わりに節税を取りにいく制度。俺はこの違いを、かなり大きいものとして見ている。
少額で試しやすいのも新NISAの強み
もうひとつ、新NISAの方が初心者向きだと思う理由がある。少額で試しやすいことだ。
月1,000円でもいい。月5,000円でもいい。
まずやってみて、自分が値動きにどれくらい耐えられるか確認できる。投資は頭で分かっていても、実際に自分のお金が増えたり減ったりすると、想像と違う反応をする。だから少額で慣れる期間を作れるのは大きい。
iDeCoは制度としては強い。でも「まずやってみる」という感覚で始めるには、かなりタフな制度だ。だから最初の一歩としては、新NISAの方が自然だ。
【実績公開】新NISAとiDeCoの運用状況(2025年3月〜2026年3月)
実際に俺が積み立てている投資信託の積立額と評価額を見てほしい。
積立は両方とも全世界株式で、成長投資枠はS&P500だ。(積立額と評価額に乖離があるのは、証券口座開設前に地銀で投信を買っていたから。25年1月に地銀購入分を一括購入したため、この乖離がある。)
積立設定して放置しているだけで、投信だけでもこれだけの評価額になる。投資=短期トレードという思い込みは、早めに手放した方がいい。

新NISAが向いている人、iDeCoが向いている人
ここまで書くとiDeCoに否定的に見えるかもしれないが、そういうつもりはない。iDeCoは、向いている人にはかなり強い制度だ。
こういう人には合う。
- 生活防衛資金がしっかりある
- 毎月の家計に余裕がある
- 老後資金を明確に切り分けたい
- 60歳まで引き出せないことを受け入れられる
逆に、まだ早いと感じるのはこういう人だ。
- 手元資金にあまり余裕がない
- 今後数年で大きな支出イベントがありそう
- まず投資そのものに慣れたい
- 制度よりも家計の柔軟性を優先したい
iDeCoはとても良い制度だ。ただ、全員に最初から一律で勧めるものじゃない。俺の中では、そんな位置づけだ。
迷ったら新NISA!
新NISAとiDeCoで迷ったら、まずNISAだ。
iDeCoは全額所得控除があって強い。でも最初に選ぶべき制度は同じじゃない。
資産形成で大事なのは、節税よりも止めないこと。無理なく続けられること。
新NISAは流動性があって、少額で始めやすい。必要なら売れる。だからこそ、初心者にはかなり優しい制度だ。
iDeCoは、家計に余力があって、資金拘束も制度変更リスクも受け入れたうえで使うなら強い。でも「まずiDeCo」と全員に一律で言うのは違う。
実際に積み立ててみて、俺はそう確信している。
まず口座を開いて、月1,000円だけ積立設定してみろ。それだけでいい。
参考にした記事
- トウシル(楽天証券)
「長期の資産形成 NISAを優先すべき人、iDeCoを優先すべき人」


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